一般的な衣類(アロハ、ブラウス、スカーフ、浴衣など)では、生地を染色やプリントで色や柄をつけることは難しいことではありません。しかし野球のユニフォームでは、生地が通気性や発汗性、ストレッチ性が要求されるメッシュであり、プレイ時の摩擦や耐久性、耐候性など、過酷な条件をクリアしなければなりません。
このような事情もあり、野球ユニフォームの多くはマークやラインをシャツ生地とは別素材のパーツとしてシャツに縫い付けたり圧着したりしています。しかしこの方法ではシャツの裏表に渡る柄、グラデーションや複雑なパターンなどを表現するには限界がありました。
そこで開発されたのが「昇華プリント」です。
昇華プリントは色や柄のデザイン的な自由度が増すだけではなく、生地に直接染色しているためにメッシュの目を塞ぐことがなく、通気性やストレッチ性を維持できます。また、別素材を使わないためマークの部分がごわついたり激しい動きによって剥離することもありません。
昇華プリントは液に漬け込むような従来の染色方法とは異なり、粒子の細かい特殊インクを熱と圧力をかけて染める乾式の染色なので、廃液を出さない環境にも考慮した染色方法です。
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